インサート成形の歩留まりを上げるために
1. インサート成形における品質トラブル
インサート成形は、通常の射出成形とは違い手間がかかり品質トラブルも発生しやすいものです。
なぜなら、インサート成形は、通常の射出成形のように単一の樹脂材料を金型に一気に射出することに加え、インサート品(金属のプレス加工品や別部品の樹脂部品など)を金型にセットした上で成形を行うからです。
金型には樹脂が高圧で射出されますので、それに耐えられるようインサート保持するように金型を作り込まないと、インサートがずれて成形不良となったり、さらにはバリが発生したりします。
2. 歩留まりの低下を回避する方法
ただ、インサート成形が通常の射出成形より著しく歩留まりが下がるかといえば、金型の作りこみによって“ある程度”回避することは可能です。
例えば、インサート成形時の作業効率を上げるために作業しやすい金型を作ることや、インサートに合わせて金型を作りこむなどといった対策が考えられます。
3. インサート成形における注意点
しかしここで注意すべき点は、インサート自体にばらつきが生じると、元も子もない、ということです。例えば、端子等をインサート成形する場合、端子と金型の隙間から樹脂が洩れないように寸法を合わせて挟む必要がありますが、インサートの寸法がばらつくと隙間からバリが発生したり、成形不良に繋がることもあります。
4. インサート成形の歩留まりを上げるために
金型を手掛ける当社の立場から申し上げますと、例えばインサートがプレス加工品であるならば、プレス部品の寸法精度をしっかり作りこむことができれば、その寸法精度を考慮した金型設計を行うことができるので、先ほど説明したようなバリは発生せず、歩留まりを上げていくことが可能です。さらに寸法精度が出ていることで、人手による作業ではなくロボットを用いた自動化も行うことが可能となります。
5. 最後に
インサート成形の不良は、金型・成形条件/方法・インサートなどいずれかの要素が影響して発生しますので、もし不良や歩留まり低下でお悩みの場合は、インサートの寸法精度を上げられないか、それに応じた金型に修理できないか等、一度検討されてみては如何でしょうか。